話し方に悩む女性に聞いた|「うまく話せない」の正体と、伝わる人がやっていること

話し終えたあと、相手の顔を見て思う。——いま、伝わっただろうか。

話し方の本はたくさんあります。結論から話す、間を取る、相手の目を見る。どれも知っている。それでも、うまく話せた実感は持てない。全国の30〜60代の女性300人に、話し方の何に悩んでいるのかをうかがいました。その結果は、話し方の悩みが技術の問題ではないことを示していました。


この記事について

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この記事は、調査をもとに、
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悩みの正体は「うまく言えない」ではなかった

話し方について最も悩んでいることをうかがいました。

伝わっている手ごたえがない60.7%
声が小さく、聞き返される16.0%
言葉がすぐに出てこない13.3%
話が長くなり、まとまらない10.0%
緊張して頭が真っ白になる0.0%
会話中の沈黙が怖い0.0%

Q. 話し方について、最も悩んでいることはどれですか。(n=300/単一回答)

「伝わっている手ごたえがない」が60.7%で突出しました。「言葉がすぐに出てこない」13.3%、「話が長くなり、まとまらない」10.0%を大きく引き離しています。

これは、意外と大事な結果だと思います。多くの方が悩んでいるのは、うまく言葉が出ないことでも、話がまとまらないことでもない。言うべきことは言えている。文章としては成立している。それなのに、届いた感じがしない。

話し方の本が教えてくれるのは、たいてい「何を、どの順番で言うか」です。けれど今回いちばん多かった悩みは、その先にあります。組み立ての問題ではなく、届き方の問題です。

それは誰に対して起きるのか

話し方の悩みが最も出やすい相手をうかがいました。

職場の上司・目上の人25.3%
相手を問わず出てしまう20.7%
家族やパートナー20.0%
職場の同僚・部下16.3%
初対面の人14.7%
友人・ママ友3.0%

Q. 話し方の悩みが最も出やすいのは、どんな相手ですか。(n=300/単一回答)

ここは、他の設問と違って票が割れました。1位でも25.3%で、6つの選択肢すべてに回答が散っています。特定の相手だけが苦手というより、人によって出る場所が違う、ということだと思います。

1位は「職場の上司・目上の人」25.3%。ここは想像しやすいところです。注目したいのは3位、「家族やパートナー」20.0%が「初対面の人」14.7%を上回ったことです。

いちばん気心の知れた相手に、いちばん伝わらない。長く一緒にいるほど、説明を省くようになります。言わなくても分かるはずだ、という前提ができる。そして、その前提が外れたときに、「どうして伝わらないのだろう」という感覚が残ります。

話したあと、家で何度も思い返している

「うまく話せなかった」と感じたあと、どうすることが多いかをうかがいました(複数回答)。

家に帰ってから何度も思い返す57.2%
言えばよかった言葉を考えてしまう55.8%
特に何もしない29.4%
なるべく早く忘れるようにする13.4%
誰かに聞いてもらう7.5%
次から人と話すのが怖くなる0.0%

Q.「うまく話せなかった」と感じたあと、どうすることが多いですか。(n=292/複数回答)

「家に帰ってから何度も思い返す」57.2%、「言えばよかった言葉を考えてしまう」55.8%。半数以上の方が、その場が終わったあとも話し続けています。頭の中で、一人で。

一方で「誰かに聞いてもらう」は7.5%にとどまりました。話し方に悩んでいる方が、その悩みについては人に話していない、という形になっています。

思い返すという行為そのものは、悪いものではありません。自分の話し方を気にかけているということでもあります。ただ、一人で思い返しているかぎり、材料は記憶しかありません。そして記憶の中の自分の声は、実際に出ていた声とは、たいてい違っています。うまくいかなかったという印象だけが、繰り返し強くなっていく。

練習している人は、ほとんどいない

話し方を良くするために試したことをうかがいました(複数回答)。

特に何もしていない54.0%
本や動画で学んだ48.0%
話す内容を事前に準備した9.0%
講座やレッスンに通った6.0%
発声や滑舌の練習をした3.7%
自分の声を録音して聞いた0.3%

Q. 話し方を良くするために試したことをすべてお選びください。(n=300/複数回答)

「本や動画で学んだ」48.0%に対して、「発声や滑舌の練習をした」3.7%、「自分の声を録音して聞いた」0.3%。学んだ方は多いのに、声そのものを扱った方はほとんどいません。

ここに、最初の結果とのつながりが見えます。60.7%の方が悩んでいたのは「伝わっている手ごたえがない」ことでした。手ごたえは、内容ではなく響きで決まる部分があります。その響きをつくっているのは声です。けれど、声に触った方は3.7%しかいない。

伝わる人がやっていること

ここからは、調査結果に対するWORTEからの見方です。

伝わる人は、特別に上手な言い回しを使っているわけではありません。むしろ、言っていることは平凡です。違うのは、ことばが声になっているかどうかだと思います。

頭の中で組み立てた文章を、そのまま口から出す。このとき、ことばは情報として運ばれますが、響きを持ちません。相手には内容が届き、けれど手ごたえは残らない。多くの方が感じている「伝わった気がしない」は、たぶんこの状態のことです。

ことばはもともと、声に出されるものでした。文章も、本来は音読を前提に書かれていたものです。自分の声を、自分の耳で聞く。たったそれだけのことを、今回0.3%の方しかしていませんでした。裏を返せば、まだ手つかずの場所が残っているということでもあります。

もう一つ、今回の結果で気になったことがあります。「家族やパートナー」に対して悩みが出る方が20.0%いた一方で、「誰かに聞いてもらう」方は7.5%でした。いちばん近い人に伝わらないと感じていて、そのことを誰にも言えていない。話し方の悩みは、一人で抱えられやすい種類の悩みなのかもしれません。

話し方を変えたいと思ったとき、多くの人は「何を言うか」を変えようとします。けれど今回の結果を見るかぎり、先に触れるべきなのは、そちらではないのかもしれません。うまく話そうとするのをやめて、まず自分の声を聞いてみる。順番を変えるだけで、見えてくるものがあります。

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