言語造形からの贈り物10~周囲の大人の声かけその2~
実は言葉には、二つの側面があります。
自分から相手へ働きかける。
もう一つは、相手への共感を贈る。
お子さんにことばの遅れがある場合、
お子さんにとって周囲の大人の発することばは切実な栄養分になります。
前回は、お子さんの発語したときの気持ちを尊重して、声掛けをする。
そんなお話をしました。
ところがいざ実践しようとすると、難しいのが現状。
今回は歩くのが速い人と遅い人で、難しいポイントを解説いたしました。
歩く速度で違う、苦手なところ
この連載の2回目、3回目でご紹介した歩く速度によってとりあえず二分できるとお話しました。
それがここで重要になってきます。
速い人とゆっくりの人
歩く速度が速い方は、ふだんから外への働きかけに意識の大半が使われています。
外への働きかけは、言葉と行動に現れます。
自分が何かしたい、自分が話したいという欲求が勝りがちとなります。
人の話を聴いたり、じっと考えたり、思い出したりするのはどちらかというと
ふだんあまりしていません。
歩く速度がゆっくりの方は、内へ入る方へ意識の大半、
エネルギーの大半が使われているからです。
相手の話を聴いたり、思い出したり考えたりする時間が多いです。
どんな言葉を言おうか、考えたり、その場面を思い出したりしているため、
自分は実際に言葉を言っていないのに、相手に言ったつもりになっていたり、
自分が何をしたいか、自分から発信するのは、不明瞭になりがちです。
前回の例「るるま!」で言うと
お子さんが車を見て、「るるま!」と言った場合、嬉しいんだなと感じて、
まずそれを受け取りましたと伝える。そんな声掛けが子供さんにはごちそうになります。
速い人の注意点
この場合、ふだん速い人は、意識がポンポン早く動くため、
お子さんの嬉しい気持ちはわかってる、と思いがちで、その先のことへ行きがちです。
どうしよう、この子、また発音できてないと思って、その対処策を考える。
車がいるのはとうに気づいていて、はいはい、と軽く頷き、早く夕飯の買い物しなくちゃ、
などと自分のしなければならないことや、したいことをついついしてしまう。
ふだん速い人は、お子さんが発語したら、ひとつ息を吐き、テンポを落としてみてください。
歩いているのなら足を止め、周りやお子さんを改めて見ましょう。
お子さんがどんな気持ちなのか、不思議なことにすぐにわかります。
胸に飛び込んでくるからです。
そしてその子の発語の衝動を認める言葉を一言でいいので、
返してみてください。お子さんは安心するでしょうし、嬉しいと思います。
そんなことをしていたら、一日が回らないとの反論が聞こえてきそうですが、
かかる時間は一瞬です。時間にしたら声かけまで含めて、全部で一分かかりません。
それに、外へいく力の強い人は、自分の話したいことは割合とたくさん
話していますから、その在り方を少し変えてみるだけのことです。
お子さんの表情やお子さんとの関係が変わってくると思います。
ゆっくりの人の注意点
ゆっくりの方は、他者や自然などを聴くのはいやではないと思います。
では、聴いているのかというと、聞いてはいるのですが
が、そのまま自分の中に入ってしまい、ほかのことを思い出したり、
ぼーっとしたりすることもあると思います。
あるいは、きちんと聞いていても、なかなか外へ声かけをしにくい特徴があります。
ですから、お子さんに声かけせずに、聴くだけですましてしまう傾向があります。
言わなくてもわかる。
それはもちろんあるでしょう。
けれども小さなお子さんは、音としての言葉を栄養として必要としていますから、
音として言葉を発してみてください。
たいしたことじゃなくていいのです。
立派な文章を言う必要はありません。
「車だね」
だけでもだいじょうぶです。
思ったこと、感じたことを、贈り物にしようと思って、
短い文章にして、発語してみてください。
ことばは贈り物
このように、相手を聴くことで言葉を発する時、いつもの自分にアレンジが加わります。
もちろん、ありのままだっていいのですが、少しのアレンジでジャンクフードから
ごちそうに変わりえることが多々あります。
それはお子さんにとっても、そしてもちろん相手が大人であっても、
贈り物になります。
このように大人の声かけと言っても、
言葉を発する人がどんなタイプなのか、によって、少しコツが変わってきます。
言語造形人間学について
言語造形人間学は小野恵美のオリジナルの造語です。
シュ タイナー夫妻の始めたこと ばの芸術、言語造形を20年間実践し、ことばの音(子音、母音)と身体や動き、意識との関係、人間の成長との関係などを研究してきました。お話を教えるこ と、オリジナルの言語造形練習文を個人レッスンで各自に適応することで、その確実さを確認してきました。言語造形人間学は、シュタイナーの言語造形の精神 が結実したものです。ヴォルテのレッスンは、言語造形人間学に基づいて行われます。またヴォルテの上級クラスでは、集中講義としてその理論の講義を受ける ことができます。
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