『いななき』『スーパームーン』より
はじめまして
恵矢 with S です。
このたびは作品「詩の卵」をご購入いただき、ありがとうございました。
夜に
沈黙したあなたの体が
光を吸い、光りを吐く
眠ったあなたの体が夜をさまよう
呼吸が止まり、月明かり
私は泥棒のようにじっとしている
あなたの体が呼吸する
いちめんに、白いけしの花
私は愛に触れる
『いななき』2010より 恵矢
生まれる
壊されて
ようやくひらく
わずかな隙間
そこから射し込む
光よりもすばらしいもの
私の予想だにしなかったもの
盲になっても見たかったもの
ああこれか。
『スーパームーン』2011 より 恵矢
『ひとしずく』2010より 作品「詩の卵」掲載以外の作品をご紹介いたします。
『ひとしずく』の詩作品はすべて無題です。
★★★★★★★★★★
ひかりで満ちていく
生きてきたという
ただそれだけで
ひかりが溢れていく
生きているという
ただそれだけで
★★★★★★★★★★
秋の陽にすける木の葉
いつか去る美しいもの
この手につかみたかった
瞬間の、永遠
★★★★★★★★★★
子どもたちが無邪気に遊ぶ
同じ光のなか、自分だけ入れない。
わたしに邪気がある。
うつむいて、抱きしめて、笑って。
『スーパームーン』2011より 作品「詩の卵」掲載以外の作品をご紹介いたします。
スーパームーン
自分は無垢なつもりだったけれど
いつの間にか
あの大きな曲がり角
曲がっていた
無力でも、非力でも
まっすぐに立っていさえすれば
まっすぐだった
振り返るのは面倒だ
あの、曲がり角
そこには置いてきた私が
そのまま立っている
自分は無垢なつもりでも
いつの間にか、違ってた
もうまっすぐに立てない
少し黙って、月を聴く